Classici giapponesi con furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Leggi キャラコさん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.043 caratteri · 56 schermate
一
青い波のうねりに、初島がポッカリと浮んでいる。
英国種の芝生が、絨氈を敷いたようにひろがって、そのうえに、暖い陽ざしがさんさんとふりそそいでいる。
一月だというのに桃葉珊瑚の緑が眼にしみるよう。椿の花が口紅のように赤い。
正月も半ばすぎなので、暮から三ガ日へかけたほどの混雑はないが、それでも、この川奈の国際観光ホテルには、ここを冬の社交場にする贅沢なひとたちが二十人ほど、ゴルフをしたり、ダンスをしたり、しごくのん気に暮らしている。
時節柄、外国人の顔はあまり見えず、三階の南側のバルコンのついた部屋に母娘のフランス人がひと組だけ滞在している。
巴里の有名な貿易商、山田和市氏の夫人と令嬢で、どちらも相当に日本語を話す。
夫人はジャンヌさん、娘はイヴォンヌさんといって、今年十七歳になる。朝露をうけた白薔薇といった感じで、剛子はたいへんこのお嬢さんが好きだ。
もしや、露台の揺り椅子にでも出ていはしまいかと、そのほうを見あげたが、窓には薄地のカアテンがすんなりとたれさがっているばかりで、そのひとのすがたは見えない。
めったに社交室へも顔を出さずに、いつも母娘二人だけで楽しそうに話しあっている。