Classici giapponesi con furigana
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リラのてがみ
リラの手紙
豊田 三郎
Leggi リラの手紙 (リラのてがみ) di 豊田 三郎 (とよださぶろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.702 caratteri · 30 schermate
扉を開くと、青江がいるような香が狭い部屋に立ち罩めていた。すると久能は、自分が勉強しているところへ、青江がやって来て、眉をひそめさせたのもこれだったと思い出し、着物などに触れて見、胸が痛くなり、疑いを忘れた微笑が浮んで、苦しまない時があったから、苦しい時が来たのだ。やがてまた明るい日が来るだろうと、もう時というものだけに頭を垂れていた。暗くなっていく部屋にしょんぼりと坐っていると、ふっと故郷にいる母の痩せた顔が出て来、また、最近手にした母の手紙の中の、卒業の上は小説などと申さず、何にても真面目な職につかれ、よき妻を娶られたく、という文句を思い出すと、涙の流れ出ないのが寂しく、まさかに母は自分があのような病院に通い、こんな女の部屋にみじめな姿でいるとは想像していないだろう。母の期待の崩れていくのが眼に見え、急いで母の姿を追いやると、今度は頼子が現われ女との間に距離を置かない惨めさをよく知っている彼女から嗤われているのが感じられ、又、その後には得態の知れぬ顔の群が久能を責めて来るのに耐えていると、ふいに久能はぞっとして立ちあがり、青江の持物を調べようと思付いた。