Classici giapponesi con furigana
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さんあくにんものがたり
三悪人物語
山本 周五郎
Leggi 三悪人物語 (さんあくにんものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.990 caratteri · 58 schermate
十
権頭がそうっと云った、「なんにも起こりゃあしなかった、眼の迷いだ、――へっ」
十
「まったくです、眼の迷いですよ」と杢も声をひそめて四辺を見まわした、「それに、つまりは邪魔者がいなくなったわけですからな、姑の留守の若夫婦ですよ」
「またくだ、おかめなしにやれるか、さやろ、もへなにちげね」中将はこう云って、しかし不安そうに小判へそっと手をやった、が、とたんにあっちちちと手を振りながらとび上がった、「あちあちあち、また手をやいた、火だ」
権頭が肚を立て足袋草鞋の足で蹴散らかした。いな、力任せに蹴飛ばすがいなや権頭は「あ痛ててて」と爪先を持ち上げてちんちんをした、大磐石でも蹴ったように、骨のしびれるほど痛かったが小判はびくとも動かない、「ええ畜生」かっとなって刀の鐺で突っついたら、刀は鞘ごとぽきりと折れ、小判はやはり微動もしなかった。――三人は憤激してのぼせあがり嚇怒のあまり敦圉してあらゆる手段と方法をもって小判奪取の努力を続けた。かくて約半刻……この黄金色に光る無生物との格闘に、身も心もへとへとになったとき、杢の知恵によってからくも活路が発見されたのである。