Classici giapponesi con furigana
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さんりょうきょう
三稜鏡
佐左木 俊郎
Leggi 三稜鏡 (さんりょうきょう) di 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.347 caratteri · 42 schermate
青年はすると、誘うまでもなく、酷く焦燥しながら、身悶えをするようにして署長の背後へ追縋って行った。その後から、三人の刑事は、何か目交ぜをして、薄笑いながら跟いて行った。
表には自動車が待っていた。署長を先にして五人は飛乗った。自動車は直ぐひゅうっと走り出した。同時に青年は又おしゃべりを始めた。
「笠松博士は、実験に使った人間の死体を、何んな風に始末していたものか、私は遂ぞ見たことが無いのですけど、殊によるとその部分部分の死体も、あの溝の中へ投込んだのじゃありますまいかな? それで、手と足とが別人のものになったり、首と胴とが又別人のものになるものだから、被害者が何うしてもわからなかったのじゃありませんか? 幾らその首に被害者の見当をつけて見ても、胴が別人のだったり、脚が違っていたら、全くわからなくなるわけですから……」
「笠松博士だ。そらっ! あれが笠松博士ですよ」
青年は自動車の窓から煉瓦の建物の方を指した。
「自動車を止めろ!」
自動車は病院の門を這入ったばかりのところで停められた。五人は急いで自動車を降りた。赤煉瓦の建物の前を、銀色の顎鬚の老紳士が、白い手術服のポケットに両手を突込んで、静かに歩いているのが庭の樹木の間に見え隠れた。