Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ふしぎなしま

不思議な島

芥川 竜之介

Leggi 不思議な島 (ふしぎなしま) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6348 caratteri · 13 schermate

Aozora Bunko

僕は籐の長椅子にぼんやり横になっている。目の前に欄干のあるところをみると、どうも船の甲板らしい。欄干の向うには灰色の浪に飛び魚か何か閃いている。が、何のために船へ乗ったか、不思議にもそれは覚えていない。つれがあるのか、一人なのか、その辺も同じように曖昧である。

曖昧と云えば浪の向うも靄のおりているせいか、甚だ曖昧を極めている。僕は長椅子に寝ころんだまま、その朦朧と煙った奥に何があるのか見たいと思った。すると念力の通じたように、見る見る島の影が浮び出した。中央に一座の山の聳えた、円錐に近い島の影である。しかし大体の輪郭のほかは生憎何もはっきりとは見えない。僕は前に味をしめていたから、もう一度見たいと念じて見た。けれども薄い島の影は依然として薄いばかりである。念力も今度は無効だったらしい。

この時僕は右隣にたちまち誰かの笑うのを聞いた。

「はははははは、駄目ですね。今度は念力もきかないようですね。はははははは。」

右隣の籐椅子に坐っているのは英吉利人らしい老人である。顔は皺こそ多いものの、まず好男子と評しても好い。しかし服装はホオガスの画にみた十八世紀の流行である。