Classici giapponesi con furigana
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ふしょうのあに
不肖の兄
豊島 与志雄
Leggi 不肖の兄 (ふしょうのあに) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.889 caratteri · 39 schermate
これで母もなくなって、幾年かたったならば、僕はもう生みの父母のことは忘れてしまって、別な広い父性や母性をばかり、自分の魂の父や母をばかり、想像したり思慕したりすることだろう。
然しまた、そのために、僕はどれだけ自由に伸び伸びと生きてゆけることか。
然しこんなことは、お前にはよく分るまいから、これ以上云うのは止そう。だが、そんな気持だから生活が放埓になるのだと云わるれば、僕は一言もない。但し自分では放埓だとも思ってやしないがね。
それからもう一つ、僕はお前に詫びなければならないことがある。お前は、僕が故意に浜地を誹謗したと思って、嫌な気がするだろう。それはもっともだ。僕の云い方が悪かったのだ。僕はあんな云い方をして、浜地を傷つけるつもりでは少しもなかった。男の心って、それほど潔白なものではないということを、兄に向って云いたかったのだ。僕が時々遊里に足を向けるからと云って、僕をさも汚れた者のように取扱い、風呂にも先に入れないで、而も冗談にもせよ口に出してまでそれを云う、そうした兄に対する反感から、たとえ身体は汚れていようとも、心は潔白だということを、間接に主張して見るつもりだった。