Classici giapponesi con furigana
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ごかいのまど
五階の窓
国枝 史郎
Leggi 五階の窓 (ごかいのまど) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7651 caratteri · 16 schermate
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「おやっ!」
と叫んだ長谷川の声がひどく間が抜けて大きかったので、山本は危なくコーヒー茶碗をテーブルの上へ落とそうとした。
「おい、いったいどうしたんだい、大声が自慢にゃあならないぜ」
「シェーネス・フロイラインが通るのだよ」
長谷川は窓へ飛んでいった。
「どれ」
と言うと、山本も長谷川の肩越しに窓外を見た。
雪が止んだので人通りがある。
一人の娘が歩いていく。深くうつむいているとみえ、ショールを抜いて頸脚が、少し寒そうに白々と見える。それが瀬川艶子であった。やがて人影に隠れてしまった。
「わが少女去りにけりか」
長谷川はテーブルへ帰ってきた。
「それだけの詠嘆でいいのかい」
椅子へ腰かけた山本は、ちょっと皮肉に言ったものである。
「探偵小説家としてはいけないさ。だが、ぼくは場合によっては探偵小説家なんか廃業したっていいよ、彼女さえぼくを愛してくれたらね」
「不心得だね、食えないぜ」
「なに、そうしたら新聞記者になる」
「ぼくのお株を奪うのだね」
「あっ、なるほど、そういうことになるか」
「探偵小説家でいたまえよ」
「探偵小説家でいる以上は、詠嘆ばかりしてはいられないね。