Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ごかいのまど

五階の窓

国枝 史郎

Leggi 五階の窓 (ごかいのまど) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7651 caratteri · 16 schermate

Aozora Bunko

21

これは桝本の声である。

「内では永年お蝶さんが絞って絞って絞りまくるし、外では最近この人がストライキを起こして攻め立てるし、事務所ではお艶ちゃんが澄ました顔をして、奇麗なところをちらつかせるし、大将だってふらふらしますよ。それに、業界の不況でね」

「艶ちゃんだけはかわいそうですよ。……最近までそんなこと知らなかったんですもの」

これもお蝶の声である。

そのまま話し声は聞こえなくなった。と、また桝本の声がした。

「二千円を独り占めはひどかろうぜ」

21

「そいつもぼくの知ったことじゃあない」

激昂した将校マントの声だ。

「きみこそいちばんの悪党だぜ!」

「あるいはそうかもしれないね」

桝本の声はふてぶてしい。

「工員を煽動してストライキを起こさせ、そいつを種に社長を強請る。……きみのような人間がいるからだよ、運動が途中で挫折するのは」

「二千円を出せよ、二千円を」

「知らないと言ったら知らないんだ」

「密告するぜ、きみの居場所を」

桝本の声は威嚇的である。

「言うがいいや、ぼくは平気だ」

「では、なぜこんなところに隠れているのだ」

「きみが隠れろって言ったからさ」

「きみに嫌疑がかかっているからさ」