Classici giapponesi con furigana
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ごかいのまど
五階の窓
平林 初之輔
Leggi 五階の窓 (ごかいのまど) di 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.840 caratteri · 30 schermate
次に自殺の疑いですが、これにも何も証拠はありません。だいいち、家族の者や社員の者にいろいろ訊き質してみても、社長の様子に近ごろ変わったところがあったと言った者は一人もありません。なるほど工員のストライキや脅迫状などで心配は心配だったに相違ありませんが、ああいう陽気な気質の人間がそれくらいのことで自殺をしたりするとは思われませんからね。現に、今日もあの事件が起こる前に北川が脅迫状を社長に見せたら、『またかい、根気のいいものだね』なんて、他人事のように笑っていたというではありませんか。それに、部屋じゅう探してみても遺書らしいものはなに一つ見つかりません、充分遺書を書く時間があるのに。また社のことにしたって、家族のことにしたって、相当言い残しておく必要のある身なのに、一つも遺書らしいものを残していないということは、それだけでも自殺でないという立派な反証ですよ。その上、変事のあるすぐ前にタイピストに書かせた山田貿易商会へ宛てた手紙の終わりには、『明朝十時にご来社くだされたく、お示しの条件については拝顔の上ともかくご相談いたしたく候』と書いてありますね。