Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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じんがいまきょう

人外魔境

小栗 虫太郎

Leggi 人外魔境 (じんがいまきょう) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 101.713 caratteri · 205 schermate

Aozora Bunko

「で、そこには、四大河の水源をなす九十九江源地なる湖水あり、その湖上には、具諸衣宮殿なる毘沙門天の大宮殿。さらに、外輪山はこれ四峰あり、阿曩、倶曩、波里倶娑曩、曩拏波里迦。そうしてそれぞれの峰には、発する彩光の色により、四とおりの別名あり。紅にかがやくは、紅氷蓮の咲く花酔境、白光を発するは、白氷蓮の咲く吉祥酔境などでござりまする。そこは、氷嶺とは申せ気候春のごとく、あらゆる富貴、快楽を毘沙門天がお与えくださいます。私どもも、そこへ行き着きとうて修行いたしますなれど、まだ花酔境の裾をみたものもございませぬ」

ユートピア、これこそ喇嘛の夢想楽土であるが、しかし孔雀王経中の四峰の彩光といい、すべてが現実そのままなのも奇怪だ。花酔境とは、すなわち今いう紅蓮峰であろうし、九十九江源地とは、三大河の水源という意味であろう。理想郷も、よし今はなくも遺跡ぐらいはあろうと、ますます大氷嶺の奥ふかくのものに心をひかれ、いま冷い密雲に鎖されうしなわれた地平線のかなたを、私はしばらく魅入られたようにながめていた。

しかし、あの彩光の怪は科学的に解けぬものだろうか。私は、あれが水晶の露頭ではないかと考える。