Classici giapponesi con furigana
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じんがいまきょう
人外魔境
小栗 虫太郎
Leggi 人外魔境 (じんがいまきょう) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 101.713 caratteri · 205 schermate
ひどい熱に浮かされながら、幹にすがり、座間の肩をかりて蹌踉とゆくうちに、あたりの風物がまた一変してしまった。
大きな哺乳類はまったく姿を消し、体重はあっても動きのしずかな、王蛇や角喇蜴などの爬虫だけの世界になってきた。植物も樹相が全然ちがって、てんで見たこともない根を逆だてたような、気根が下へ垂れるのではなくて垂直に上へむかう、奇妙な巨木が多くなった。それに、絶えず微震でもあるのか足もとの地がゆれている。
してみると、土の性質が軟弱になったのか、それとも、地辷りの危険でもあるのだろうか? この辺をさかいに巨獣が消えたのと思い合わせて、これがたんなる杞憂ではなさそうに考えられて来た。いまにも足もとの土がざあっと崩れるのではないか――踏む一足一足にも力を抜くようになる。しかしここで、悪魔の尿溜の片影をとらえたようでも、森はいよいよ暗く涯もなく深いのだ。
すると熱の高下の谷のようなところで、ヤンがマヌエラをそっと葉陰に連れこんだ。
「あなたは、モザンビイクに帰りたいとは思いませんか」
突然のことに、マヌエラはきょとんと目をみはった。蚊帳ヴェールを透いて、なんでこの期になって思いださせようとするのかと、涙さえ恨めしげにひかっている。