Classici giapponesi con furigana
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しゅんかん
俊寛
菊池 寛
Leggi 俊寛 (しゅんかん) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.455 caratteri · 35 schermate
そしてその椰子に覆われた鳶色の岩から、一条の水が銀の糸のように滴って、それが椰子の根元で、小さい泉になっているのを見た。水は、浅いながらに澄み切って、沈んでいる木の葉さえ、一々に数えられた。渇し切っている俊寛は、犬のようにつくばって、その冷たい水を思い切りがぶがぶ飲んだ。それが、なんという快さであっただろう。それは、彼が鹿ヶ谷の山荘で飲んだいかなる美酒にも勝っていた。彼が、その清冽な水を味わっている間は、清盛に対する怨みも、島にただ一人残された悲しみも、忘れ果てたようにすがすがしい気持だった。彼は、蘇ったような気持になって立ち上った。そして、椰子の梢を見上げた。すると、梢に大きい実が二つばかり生っているのを見た。俊寛は、疲労を忘れて、猿のようによじ登った。それを叩き落すと、そばの岩で打ち砕き、思うさま貪り食った。
彼は、生れて以来、これほどのありがたさと、これほどのうまさとで、飲食したことはなかった。彼は椰子の実の汁を吸っていると、自分の今までの生活が夢のように淡く薄れていくのを感じた。清盛、平家の一門、丹波少将、平判官、丹左衛門尉、そんな名前や、そんな名前に対する自分の感情が、この口の中のすべてを、否、心の中のすべてを溶かしてしまうような木の実の味に比べて、まったく空虚なつまらないもののような気がしはじめ