Classici giapponesi con furigana
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しゅんかん
俊寛
菊池 寛
Leggi 俊寛 (しゅんかん) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.455 caratteri · 35 schermate
三
その花を、じっと見詰めていると、人間のすべてから知られないで、美しく香っている、こうした名も知れない花の生活といったようなものが考えられた。すると、孤島の流人である自分の生活でさえ、むげに生甲斐のないものだとは思われなくなった。彼は、自殺しようとした自分の心のあさはかさを恥じた。彼の心には、今新しい力が湧いた。彼は勇躍して立ち上った。そして、海岸へ走り出た。いつもは、魂も眩むようにものうく思われた大洋が、なんと美しく輝いていたことだろう。十分昇り切った朝の太陽のもとに、紺碧の潮が後から後から湧くように躍っていた。海に接している砂浜は金色に輝き、飛び交うている信天翁の翼から銀の光を発するかと疑われ、いつもは見ることを厭っていた硫黄ヶ岳に立つ煙さえ、今朝は澄み渡った朝空に、琥珀色に優にやさしくたなびいている。
俊寛は、童のようなのびやかな心になりながら、両手を差し広げ、童のように叫びながら自分の小屋へ駆け戻った。
三
島に来て以来一年の間、俊寛の生活は、成経や康頼との昔物語から、謀反の話をして、おしまいにはお互いの境遇を嘆き合うか、でなければ、砂丘の上などに登りながら、波路遥かな都を偲んで溜息をつきながら、一日を茫然と過ごしてしまうのであったが、俊寛はそうした生活を根本から改めようと決心した。