Classici giapponesi con furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Leggi 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.664 caratteri · 323 schermate
飛び込んだ男は灘兵衛と云って、わざわざ安房から呼び寄せたところの水練名誉の海男であったが、飛び込んでしばらく時が経つのに水の面へ現われようともしない。しかし間もなく湖水の水が最初モクモクと泡立つと見る間に、忽ちグイと左右に割れ、その割目から灘兵衛が逞しい顔を現わした。プーッと深い呼吸をすると、水が一筋銀蛇のようにその口から迸る。片手で確り船縁を掴み。しばらく体を休めたものだ。
血気の頼正は物に拘らず、じかに灘兵衛へ言葉をかけた。
「どうだ灘兵衛、石棺はあったか?」
「なかなかもって」
と灘兵衛は、潮焼けした顔へ笑を浮かべ、
「泥は厚し、水草はあり、湖水の底を究めますこと、容易な業ではござんせん」
「いかさまそれは理もである……しかし、どうだな、ありそうかな?」
「二日、三日ないしは五日、どのように水を潜ったところで、々と広い湖のこと、そんな小さな石の棺、あるともないとも解りませぬ。が、私の感覚から云えば、まずこの辺にはござんせんな」
「うん、この辺にはなさそうか。ではどの辺に埋もれていような?」
「それが解れば占めたもの、心配する事アござんせん」
「ではそれも解らぬかな」