Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

Leggi 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.664 caratteri · 323 schermate

Aozora Bunko

しかし彼らは眠られないらしい。

そこで彼らは話し出した。

彼らは浅草奥山の、見世物小屋の太夫達であった。

「八ヶ嶽の山男」

――こういう看板を上げている、その掛け小屋の太夫達であった。

しかし彼らは窩人であった。

彼らは小屋内に眠るより、戸外で寝る方を愛していた。それは彼らが自然児だからで、人工の屋根で雨露をしのぎ、あたたかい蒲団にくるまるより、天工自然の空の下で、湿気と草の香に包まれながら地上で眠る方が健康にもよかった。で、暴風雨でない限り、いつも彼らは土の上で眠った。

二十年近い過去となった。その頃彼らは八ヶ嶽を出て、下界の塵寰へ下りて来た。それは盗まれた彼らの宝――宗介天狗のご神体に着せた、黄金細工の甲冑を、奪い返そうためであった。

漂泊の旅は長かった。

到る所で迫害された。

山男! こういう悪罵を投げつけられた。

長い漂泊の間には、死ぬ者もあれば逃げるものもあった。しかし、子を産む女もあった。

で、絶えず変化した。

しかし目的は一つであった。

復讐をするということであった。

丘の近くに池があった。パタパタと水鳥の羽音がした。

「水鳥だな」

と誰かが云った。