Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜんきてんまやけ

前記天満焼

国枝 史郎

Leggi 前記天満焼 (ぜんきてんまやけ) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.568 caratteri · 98 schermate

Aozora Bunko

「どうだどうだ、え、扇女、ソロソロおっこちてもいいだろう」

扇女の胸の辺りへ視線を送り、大学はこんなことを云い出した。

「御贔屓様は御贔屓様、旦那様は旦那様、可愛いお方は可愛いお方、ちゃあんと分けて居りますのでね」

扇女は早速蹴飛ばしてしまった。ビクともしない態度である。

「久しいものさ、その白も」

大学はニヤニヤ笑っている。決して急かない態度である。

二人ながらちょっとここで黙った。

やがて、大学は云い出した。

「ところで有るのかい、可愛い人が?」

「こんな商売、情夫がなくては、立ち行くものじゃアありませんよ」

「一体どいつだ、果報者は」

勿論大学怒ったのではない。語気を強めて云ったまでである。

怒るような大学ならいいのであって、いつも冷静、いつも策略、そうでなければ世は渡れぬ――と考えている彼なのであった。

「あやかりたいの、果報者に」

「なかなかむずかしゅうございますよ、果報者にあやかるということわね」

「ひどく勿体をつけるじゃアないか」

ツト手を延ばすと盃を取り上げ、

「まず注いだり。……冷めたかな」

銚子を取り上げた吉沢扇女は、盛り溢れるほど酒を注いだ。