Classici giapponesi con furigana
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まんじ
卍
谷崎 潤一郎
Leggi 卍 (まんじ) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 133.618 caratteri · 258 schermate
その三十
それやったらちゃんとその間アに支度出来る。ただ気の毒やのんはお梅どんで、前の日イから光子さんに附いて浜寺い行ってて、彼処から十時までにわざわざ香櫨園い出て来て、暑い盛りに一時間も二時間も海岸に待ってんならん。それもひょッとしたら待ちぼけ喰わされて、二日も三日も来んなりません。けど「あの児やったらきっとしてくれるわ、そんなことするのん好きやねんし」いいなさって、何から何まで洩れのないように手筈きめて、お互に「巧いことやって頂戴」いうて、光子さん帰って行きなさったのん一時頃でしたけど、それと殆んど入れ違いみたいに夫戻って来ましたのんで、ほんまにこれやったら今日でのうてよかった思いましてん。
その三十
はあ、……逃げたのんはそいからやっぱり三日目のことで、日和の都合も時間の工合もすっくり予定の計画通り行きましたのんで、私は十時ちょっと過ぎに海水服着て海岸い出て、お梅どん見ると眼エで合図しいしい黙って浜七、八丁走って、そこで更紗模様のヴォイルの服頭から被って、お金の十円這入ってる手提げ受け取って、パラソルで顔隠しながら、お梅どんとは別々に急ぎ足で国道い出ましたら、運よくタクシー来ましたのんで、それに乗って一と息に難波まで行きましてん。