Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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なんぶのはなまがり

南部の鼻曲り

久生 十蘭

Leggi 南部の鼻曲り (なんぶのはなまがり) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.683 caratteri · 25 schermate

Aozora Bunko

観念して死を待っているような凄味のある落着きかたで、

「おい、どうした」

と声をかけたが返事もなかった。

おれはキャナリーへ人を呼びに帰ろうとしたが、見るとモオリーは一寸一寸と微妙に泥の中へ沈んでいる。竿でもと思ったが、もとよりそんなものがあるべきはずはない。この上はおれが泥の中へ入ってモオリーを押しあげてやるほかはないと判断した。

これは非常に危険な方法だが、モオリーがおれの手鐙に足をかけて機敏に泥から抜けだしてさえくれれば、おれの体力なら、そのあとで一人で藻掻き出せないこともないとかんがえたのである。

それで、おれはかまわず踏みこんで行くと、三歩と歩かないうちにいきなりズブズブと腰のへんまでぬかった。それでもどうにかモオリーのそばまで行きついたので、モオリーの腋の下へ手を入れて引きあげようとすると、そのはずみにおれのほうがモオリーよりも深く沈んでしまった。

助からないというのはこのことだったが、愚図愚図してはいられないので、お前は足を動かせるのかとたずねると、右足だけならどうにか動かせるとこたえた。それでおれは、

「おれはこうして立っているから、お前はおれの腰骨でも腹でもどこでもいいからどんどん足蹴しながらすこしずつ藻掻きあがるんだ、いいか」