Classici giapponesi con furigana
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うたのたてやましんじゅういっきょく
唄立山心中一曲
泉 鏡花
Leggi 唄立山心中一曲 (うたのたてやましんじゅういっきょく) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.835 caratteri · 61 schermate
その方が嬉しいのです。こんな事があろうと思って、もう家を出ます時、なくなった母親の記念の裾模様を着て参りました。……手織木綿に前垂した、それならば身分相応ですから、人様の前に出られます。時おくれの古い紋着、襦袢も帯もうつりません、あられもないなりをして、恋の仇の奥様と、並んでここへ参りました。ふびんと思って下さいまし。ああ女は浅間しい、私にはただ一枚、母親の記念だけれど、奥様のお姿と、こんなはかないなりをくらべて、思う方の前に出るのは死ぬよりも辛うござんす。それさえ思い切りました。男のために死ぬのです。冥加に余って勿体ない。……ただ心がかりなは、私と同じ孤児の、時ちゃん―少年の配達夫―の事ですが、あの児も先生おもいですから、こうと聞いたら喜びましょう。)
若旦那の目にも、奥様にも、輝く涙が見えました。
先生は胸に大波を打たせながら、半ば串戯にするように、手を取って、泣笑をして、
(これ、馬鹿な、馬鹿な、ふふふ、馬鹿を事を。)
(ええ、馬鹿な女でなくっては、こんなに旦那様の事を思いはしません。私は、馬鹿が嬉しゅうございます。)
(弱った。これ、詰らん、そんな。