Classici giapponesi con furigana
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ちていせんしゃのかいじん
地底戦車の怪人
海野 十三
Leggi 地底戦車の怪人 (ちていせんしゃのかいじん) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 55.000 caratteri · 111 schermate
林檎
傾いた戦車の中に、電灯だけは、ぜいたくにも煌々と照っている。
ピート一等兵は、大きな図体を、小さく縮めながら、失心したようになって、床を見つめている。
(ああ、なんとかして、もう一度、パンというものをむしゃむしゃ食べてみたい。娑婆には、むかしビフテキなんてえ、うまいものがあったなあ)
そんなことを考えているうちに、ピート一等兵は、おやという表情で、鼻をひくひくさせた。
(おや、なんか食べ物の匂いがする!)
彼は、くすんくすんと、鼻をならした。
すると、とつぜん、まるで、お伽噺のようなことが起った。それは、傾いた戦車の鉄板の床の上を、林檎のような形をしたものが、ころころと、ピート一等兵の足許へ、ころげてきたのであった。
彼は、太い指で、いくども、眼をこすった。
(あれえ、おれの眼は、どうかしているぞ。あまり食べ物のことを考えつづけたため、とうとうおれの頭はへんになって、有りもしない林檎が目の前に見えるのじゃないか)
眼を、ぱちぱちしてみたが、たしかに彼の足許には、林檎がおちている。
彼は、いくたびか手をのばそうと思いつつ、いやいや手をだすまいと、はやる心をおさえた。