Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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へんなおとこ

変な男

豊島 与志雄

Leggi 変な男 (へんなおとこ) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 40.508 caratteri · 81 schermate

Aozora Bunko

澄子はそれに反対して、天才にもやはり立派な人格者がいると云い、その例に、トルストイやナポレオンを持ち出した。中村はそれを打消して、そう思うのは遠く離れて見るからだと云い、近寄って見ると天才は皆不具者だと説いた。

「一番いい例は、二階のあの人だね。近く寄って見るから変梃に見えるので、遠く離れると立派な人格者に見えるものだよ。」

「そんなことないわ。」

「じゃあ澄ちゃんは、あの立派な天才を、天才ではないと云うのかい。」

澄子は眼をくるりとさしたが、瞬間に、手を挙げて打とうとした。

「まあ憎らしい!」

そのはずみに、火鉢の鉄瓶を危く引っくり返そうとした。

針仕事の上に首を垂れて、こくりこくりやっていた辰代が、喫驚して眼を開いた。

「何をしてるんですよ!」

澄子が笑い出したので、彼女ははっきり眼を覚してしまった。

「お二階の、あの方は?」

それで初めて気がついて、皆は耳を澄してみた。二階はひっそりと静まり返って、ことりとの物音もしなかった。

「そうそう、まだお茶も出さないで……。」

辰代は慌て気味に茶菓子を用意して、二階の四畳半に上っていった。

すると大学生は荷物を運び込んだままの室の中で、布団の包みに頭をもたせ、仰向に寝そべって、まじまじと天井を見つめていた。