Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ゆうもやのなか

夕靄の中

山本 周五郎

Leggi 夕靄の中 (ゆうもやのなか) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9522 caratteri · 19 schermate

Aozora Bunko

それだけは諦めがつきませんでした、どう考えてもそのことだけが……」

彼女はまた激しく泣いた。そして、嗚咽によろめく声で、自分自身を納得させるかのように、続けた。

「でも今はもう、幾らか諦めがつきます、貴方に此処でお眼にかかって、あのこにも貴方のような方があった、……たとえ夫婦にはなれなかったにしても、貴方という方がいて下すったと思うと、……嬉しくって、嬉しくって」

「もうやめて下さい、どうかもう」彼は呟くように云った、「あの人が、恥ずかしいでしょうから、おいねさんが、あの人はいつも、恥ずかしがりやでしたからね」

「ああそうでございます、あのこはいつもそうでございました」老女は涙を拭いた、「――小さいときからそんなふうで、たまにいい玩具でも貰ったりしますと、恥ずかしがって友達にも見せられない、よその子ならみせびらかすところを、あのこは却って隠すという性分でございました、そうでございます、……貴方という方のいることも、あのこにはやっぱり恥ずかしくて、わたしに話すことができなかったのでございましょう」

彼はふと、おいねという娘の姿を想像した。越後屋といえば江戸いちばんの呉服屋で、番頭手代だけで何十人といる筈だ。