Classici giapponesi con furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Leggi 夜明け前 (よあけまえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 205.629 caratteri · 408 schermate
二十戸ばかりの異人屋敷、最初の居留地とは名ばかりのように隔離した一区域が神奈川台の上にある。そこに住む英国人で、ケウスキイという男は、横浜の海岸通りに新しい商館でも建てられるまで神奈川に仮住居するという貿易商であった。初めて寛斎の目に映るその西洋人は、羅紗の丸羽織を着、同じ羅紗の股引をはき、羽織の紐のかわりに釦を用いている。手まわりの小道具一切を衣裳のかくしにいれているのも、異国の風俗だ。たとえば手ぬぐいは羽織のかくしに入れ、金入れは股引のかくしに入れ、時計は胴着のかくしに入れて鎖を釦の穴に掛けるというふうに。履物も変わっている。獣の皮で造った靴が日本で言って見るなら雪駄の代わりだ。
安兵衛らの持って行って見せた生糸の見本は、ひどくケウスキイを驚かした。これほど立派な品ならどれほどでも買おうと言うらしいが、先方の言うことは燕のように早口で、こまかいことまでは通弁にもよくわからない。ケウスキイはまた、安兵衛らの結い立ての髷や、すっかり頭を円めている寛斎の医者らしい風俗をめずらしそうにながめながら、煙草なぞをそこへ取り出して、客にも勧めれば自分でもうまそうに服んで見せた。