Classici giapponesi con furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Leggi 夜明け前 (よあけまえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 205.629 caratteri · 408 schermate
四
十一屋はそれを聞きつけて、
「女中さん、そう言ってください。今にこちらのお婆さんでも、おかみさんでも、このにおいをかぐと飛んで来るようになりますよッて。」
十一屋の言い草だ。
「どれ、わたしも一つ薬食いとやるか。」
と寛斎は言って、うまそうに煮えた肉のにおいをかいだ。好きな酒を前に、しばらく彼も一切を忘れていた。盃の相手には、こんな頼もしい人物も幕府方にあるかと思われるような客がいる。おまけに、初めて味わう肉もある。
四
当時、全国に浪打つような幕府非難の声からすれば、横浜や函館の港を開いたことは幕府の大失策である。東西人種の相違、道徳の相違、風俗習慣の相違から来るものを一概に未開野蛮として、人を食った態度で臨んで来るような西洋人に、そうやすやすとこの国の土を踏ませる法はない。開港が東照宮の遺志にそむくはおろか、朝廷尊崇の大義にすら悖ると歯ぎしりをかむものがある。
しかし、瑞見に言わせると、幕府のことほど世に誤り伝えられているものはない。開港の事情を知るには、神奈川条約の実際の起草者なる岩瀬肥後守に行くに越したことはない。それにはまず幕府で監察(目付)の役を重んじたことを知ってかかる必要がある。