Classici giapponesi con furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Leggi 夜明け前 (よあけまえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 205.629 caratteri · 408 schermate
他の無言な参籠者の間に身を置いて、社殿の片すみに、そこに置いてある円く簡素な※蒲団の上にすわることもできた。
あたりは静かだ。社殿の外にある高い岩の間から落ちる清水の音よりほかに耳に入るものもない。ちょうど半蔵がすわったところからよく見える壁の上には、二つの大きな天狗の面が額にして掛けてある。その周囲には、嘉永年代から、あるいはもっとずっと古くからの講社や信徒の名を連ねた種々な額が奉納してあって、中にはこの社殿を今見る形に改めた造営者であり木曾福島の名君としても知られた山村蘇門の寄進にかかる記念の額なぞの宗教的な気分を濃厚ならしめるのもあるが、ことにその二つの天狗の面が半蔵の注意をひいた。耳のあたりまで裂けて牙歯のある口は獣のものに近く、隆い鼻は鳥のものに近く、黄金の色に光った目は神のものに近い。高山の間に住む剛健な獣の野性と、翼を持つ鳥の自由と、深秘を体得した神人の霊性とを兼ねそなえたようなのがその天狗だ。製作者はまたその面に男女両性を与え、山嶽的な風貌をも付け添えてある。たとえば、杉の葉の長くたれ下がったような粗い髪、延び放題に延びた草のような髯。