Classici giapponesi con furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Leggi 夜明け前 (よあけまえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 205.629 caratteri · 408 schermate
吉左衛門の家では一同裏の竹藪へ立ち退いた。おまんも、お民も、皆足袋跣足で、半蔵に助けられながら木小屋の裏に集まった。その時は、隠居はもはやこの世にいなかった。七十三の歳まで生きたあのおばあさんも、孫のお民が帯祝いの日にあわずじまいに、ましてお民に男の子の生まれたことも、生まれる間もなくその子の亡くなったことも、そんな慶事と不幸とがほとんど同時にやって来たことも知らずじまいに、その年の四月にはすでに万福寺の墓地の方に葬られた人であった。
「あなた、遠くへ行かないでくださいよ。皆と一緒にいてくださいよ。」
とおまんが吉左衛門のことを心配するそばには、産後三十日あまりにしかならないお民が青ざめた顔をしていた。また揺れて来たと言うたびに、下男の佐吉も二人の下女までも、互いに顔を見合わせて目の色を変えた。
太い青竹の根を張った藪の中で、半蔵は帯を締め直した。父と連れだってそこいらへ見回りに出たころは、本陣の界隈に住むもので家の中にいるものはほとんどなかった。隣家のことも気にかかって、吉左衛門親子が見舞いに行くと、伏見屋でもお玉や鶴松なぞは舞台下の日刈小屋の方に立ち退いたあとだった。