Classici giapponesi con furigana
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ゆめのず
夢の図
豊島 与志雄
Leggi 夢の図 (ゆめのず) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7101 caratteri · 15 schermate
木村はまだ室に戻りたくなく、蝦蟇や亀や蟹などのそのおかしな園の、雑草のなかの石の上に、じっと腰をおろしている。夕闇が次第に濃くなってくる。だが、眼界は開けた思いである。
その淋しい眼界の遠い地平に、一人の小さな子供が、しきりに小さな鶴嘴を打振っている。おもちゃの鶴嘴なのであろうか。遊んでいるのであろうか。いや、地面を耕しているのらしい。だが、その辺は砂地なのである。一粒の麦も、一粒の米も、恐らく出来はしないであろう。
早く、馳けつけてやろうよ。子供は喉が渇いているようだ。疲れているようだ。――音のない声がして、木村はその声に促がされ、馳けだしてゆく。
見ると、子供は坐っているのである。片手に白いお箸を持ち、片手に小さなお茶碗を持っている。
それが、このうちの坊やである。――つい近頃、腸を病んで、長い間ねていて、殆んど絶食同様の療法をしていた。そして漸く、おまじりを少量許された時、その喜びはどんなだろう。子供の病気は何よりも不自然であり、子供の節食は何よりもいたいたしい。重湯に御飯粒がいくつか浮いてるのを、持ってこられると、彼はいきなり起きあがって、寝床の上に行儀よく坐った。