Classici giapponesi con furigana
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ゆめのず
夢の図
豊島 与志雄
Leggi 夢の図 (ゆめのず) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7101 caratteri · 15 schermate
木村は云う――。
物を考え、考えあぐんで、椅子に身を託し、或は畳の上に身をなげだして、なお考え続けながら、いつしかうつらうつら仮睡する者は、如何に多くのものを喪失していることでしょう。その頭の中には、思念の断片、さまざまな心象が、とびとびに明滅しています。仮睡者はそれらを意識するが、捕捉することは出来ません。意識しただけで、取逃してしまうのです。はっきり眼をさまし、立上る時には、頭の中に残ってるものは殆んどなく、ただ空莫としています。
喪失されたそれらの、思念の断片、さまざまな心象は、積極的な能動性を持っています。それらが現実にぶっつかって散らす火花は、やがて、現実そのものの奥底をも照らし、現実そのものをも変貌させます。この火花に抵抗し得る壁は存在しません。
四方無壁のこの境地に、人は安住し得ないのでしょうか。安住し得るのは、思考し続ける仮睡者のみでしょうか。――思考し続ける仮睡者が喪失するところのものを、日常の意識のうちに回復し維持したいものです。
また、木村は云う――。
甚しい酩酊者は、全く意識がなくなることがあります。或る情景までははっきり自覚しているが、そこで一線を劃して、それから先は全然の空虚となります。