Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Leggi 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 285.635 caratteri · 558 schermate
「ねえ、片柳様、押しつけがましいことですけれども、わたしはそう思います、因縁だと思います、金にあかしても、わたしを欲しがる人には行きたくありません、かゆいところに手の届くほど親切にして下さるお方のところへも行きたくありません、ホンの袖すり合うたような御縁のあなた様におすがり申します、このまま、わたしを連れて逃げて下さい」
「…………」
兵馬は、やはり腕組みをしたまま、無言で歩きつづけながら、身ぶるいをしました。
この手にはかかっている――商売人の用いたがる手だ。江戸の吉原で、おぞくもこの手に引っかかって、苦い経験を嘗めたのは、そんなに遠い過去でもない。
実はこの手を警戒すればこそ、この道行も、ワザと離れ離れのよそよそしさを、兵馬自身から仕向けていたのではないか。
まあ、最初のかかり合いから言えば、戸惑いとは言いながら、自分の座敷へころがり込んだ、あれが間違いのもとなのだから、相当の責任感をもって、この女のために証明の役目も果し、浅間の元の主人のところへ落着けてやるまでは、旅の道草としても、意義のないことではないと思って、頼まれるままに、浅間へ送り届けることだけは、引受けたに違いない。