Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Leggi 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 264.133 caratteri · 524 schermate
それだけでお君にはムク犬の心持がよく呑込めました。
「お前、誰か連れて来たのだね」
見廻した外の方向には板塀があって、そこには木戸があるはず。
「困ったねえ」
とお君は、その木戸口の方とムク犬の面とを等分にながめて、しばらく思案に暮れました。
「お前、あの木戸をこの夜中にあけられるものかね。それに今夜はお前、牢破りの悪人があったりなんぞして、怖い晩ではないか。こんな怖い晩に、お客様なんぞを連れて来られては、わたしも迷惑するし、連れて来られたお客様だって、どんな疑いをかけられるかわかりゃしないじゃないか」
お君はこう言ってムク犬を詰りました。けれども強く叱ることはできません。ナゼならば今までムク犬のしたことで、その時はずいぶん腹が立っても、その事情がわかった時は、なるほどと感心することばかりでありましたからです。ムクのする通りにしなければ、取返しのつかないことになったものをと、あとでホッと息を吐いて感謝することが幾度あったか知れないからであります。それでここでもまた同じように、あの木戸をあけろという無言のムク犬の合図を、お君は何事とも知らずに無条件で信用しなければならなかったのであります。