Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Leggi 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 264.133 caratteri · 524 schermate
自然、甲府でしたことを、ここへ来ても繰返すもののように見えます。
けれどもここは甲府と違って、人家も疎らな田舎道であります。笛吹川へ注ぐ小流れに沿って竜之助は、やや下って行ったけれど誰も人には会いません。人には逢うことなくして、水車の車のめぐる音を聞きました。竜之助がその水車の壁に身を寄せた時に、一方の戸がガタガタと音をして開きました。
「それでは新作さん、行って来ますよ」
それは若い女の声。
「ああ、気をつけておいで」
それは若い男の声。
「ずいぶん暗いこと」
若い女は外の闇へ足を踏み出しました。手拭を姉さん被りにして、粉物を入れた箕を小脇にし、若い女の人は甲斐甲斐しく外へ出て、外から戸を締めようとしました。
小屋の中で臼のあたりを小箒で掃いていた若い男は、その手を休めてこちらを向いて、
「狸に見込まれないようにしろや」
と言って笑うと、
「大丈夫だよ、わたしなんぞを見込む狸はいないから」
女もまた、小屋の中を見込んで笑いながら戸を締めました。
女はこう言い捨ててスタスタと草履の音を立てながら、小流れの堤を上の方へと歩いて行きます。
この水車はある一箇の人の持物ではなくて、この八幡村一郷の物であります。