Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

Leggi 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 264.133 caratteri · 524 schermate

Aozora Bunko

「存分に苦しがれ」

「ああ苦しい!」

夜中過ぎに机竜之助は帰って来ましたけれども、竜之助が帰って来た時までお銀様は、竜之助の出たことを知りませんでした。

そっと帰って来て、行燈の下で頭巾を取ろうとした時にお銀様は眼が醒めました。醒めてこの体を見ると怪しまずにはおられません。

「どこへかおいであそばしたの」

「ついそこまで」

「お一人で?」

「一人で」

「何の御用に」

「眠れないから歩いて来た」

「そんなら、わたしをお起しなさればよいに」

「あまりよく寝ている故、起すも気の毒と思って」

「そんなことはございません」

「ああ、咽喉が乾いた、水が一杯飲みたいものだ」

「お待ちなさい、いま上げますから」

お銀様は、水指を取るべく起きて寝衣を締め直しました。

「まだお火がありますから」

とお銀様は火鉢の灰を掻き起しました。

「お銀どの」

竜之助はうまそうに、水を一杯飲んでしまってから、

「紙があったはず、それから筆と墨と」

「何かお書きなさるの」

お銀様は竜之助の請求を怪しみながらも、手近の硯箱と一帖の紙とを取寄せて机の上に載せながら、

「わたしが書いて上げましょう、用向きをおっしゃって下さい」