Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Leggi 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 264.133 caratteri · 524 schermate
「また出た、また出た」
と噪いで、お城の方をながめているのを見ました。
お松はその人出のなかを、あれかこれかと尋ね廻りましたけれど、とうとう兵馬の姿を発見することが出来ないので、失望し、ムクを先に立てて、今も行ってならぬと差止められた駒井能登守の邸の方へ、知らず知らず足が向いて行きました。
その間も例の人出は、
「それ出た、また出た」
とお城の方をながめながら罵り噪いでいます。これは今宵に限ったことではない、町の人はこの二三日の晩のある一定の時刻になると、こうして門並に立って、
「それ出た、それ出た」
というのであります。
何が出たのかと言えば、真紅な提灯がたった一つ、お城の天守の屋根の天辺でクルクル廻っているのであります。大方、提灯だろうと思われるけれども、それとも天狗様の玉子かも知れない。もし提灯だとすれば、それを持って、あの高いところまで上る人がなければならぬ。そんなことは誰にだって出来るはずではないのであります。警固の役人がその提灯をみとめると、直ちに取調べに行くのでありますが、天守の上まで登る時分には、もう提灯は消えてしまって、人の気配などはさらにないのであります。