Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Leggi 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 264.133 caratteri · 524 schermate
「殺生は嫌いでございますけれど、殿様のお土産ならば大好きでございます」
「はは、たあいないものじゃ」
「あの、お風呂がよく沸いておりまするが、お召しになりましては」
「それは有難い、ではこのまま風呂場へ」
「御案内を致しまする」
米友は、大戸の入口から洩れて来るこれらの会話をよく聞いていました。大戸の中をやや離れて覗き込むようにしていたが、その額に畳んだ小皺のあたりに雲がかかって、その眼つきさえ米友としてはやや嶮しいくらいです。
そこで話がたえたけれども、この会話の間にも、お君の口からも能登守の口からも、米友という名前は一言も呼ばれませんでした。遺憾ながら「友さんも帰りましたか」という言葉が、お君の口から出ないでしまいました。それで二人は風呂場へ行ってしまったようでした。米友は大戸の入口から、まだ中を睨んで立っています。
それから米友は、軒下を歩いて自分の部屋へ帰ろうとする時に、
「誰だい、そこの節穴からこの屋敷の中を覗いているのは誰だい」
と言って、また立ち止まって塀を睨みました。
「また折助のやつらだろう、誰に断わってそこからこっちを覗くんだ、やい、鉄砲を打放してくれるぞ」