Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Leggi 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 264.133 caratteri · 524 schermate
それとは知らなかった」
お銀様は、その女の方の像を見ながら歯を咬鳴らしました。
「この若い御支配の殿様と、あの奥方気取りで……憎らしいッ」
お銀様は頭を自棄に振って、銀の簪を机の上へ振り落しました。振り落したその簪をグイと掴んで、呪いの息を写真の面に吹きかけました。
お銀様の呪いの的となっている写真の中の女の像、それは裲襠姿の気高い奥方でありました。美男の聞えある能登守と並んだこの気高くて美しい奥方。お銀にとってそれは、骨を削ってやりたいほどに呪わしいものでなければなりませぬ。
ことに、あのお濠の外で、折助どもからあんな無礼な仕打をされている時に、城の中で二人にこんなことをされては……それが口惜しくて、嫉ましくて、腹立たしくて、呪わしくて、お銀様の銀の簪持った手がワナワナと慄えて慄えてたまりません。
お銀様はその写真を左の手で持ち直して、右の手で銀の簪を取り直して、
「エエ、覚えておいで」
と言ってズブリ――その女の像の面をめがけてつきとおそうとしました。
「お嬢様、まあ何をなさいます」
あわてて入って来たお君は飛びついて、銀の簪を持ったお銀様の手をしかと抑えました。