Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Leggi 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.120 caratteri · 516 schermate
弁信は必死に杖を以てお蝶を支えて、一歩も進ませないようにしながら、己れは身を戦かしつつ立っていたのであります。
「どうしたんですよ」
「誰かいます、行ってはいけません、行くと殺されます」
「エ!」
お蝶は弁信の傍へ、固くなって立ちすくみました。
土手の蔭に、蛇がからみ合っているように、二つの人影が一つになって、よれつ、もつれているのを弁信はむろん見ることができません。お蝶もそれを知るには、まだあまりに遠い距離でありました。
しかしながら、土手の蔭の二つの人影は、からみ合って、そうして、おのおの炎のような息を吐いていることはたしかです。
「お前の歳は幾つだ」
炎のような息を吐きながら、一つの影が上から押しかぶせるように言いました。
「どうぞ御免下さい」
抱きすくめられているのは、やっぱり女の声でありました。
「うむ、歳は幾つだ、それを言え」
大蛇が羊を抱き締めたように、ぐるぐると巻いた、その炎の舌のあるじは、まさに男です。
「十九でございます」
女は息も絶々になっている。
「十九……名は何というのだ」
「藤と申します」
「なんで、この夜更けに独り歩きをする」
「御信心に参りました」