Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Leggi 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.120 caratteri · 516 schermate

Aozora Bunko

その時に、甲板の上、ここから言えば天井の一角から、不意に強盗が一つ、この船室へつりさげられて来ました。それは鉄の輪を以て幾重にもからげて、どっちへ転んでも、壊れもしなければ油もこぼれないように工夫してある強盗が、天井の一角から下って来ると、その光を真下に浴びていたお角の姿がありありと浮き出して、二十余人の他の乗合は、影法師のように真黒くうつッて見えます。

「風が変った、丑寅が戌亥に変ったぞ、気をつけろやーい」

船の上では船員が、挙げてこの恐ろしい突発的の暴風雨と戦っています。こう言って悲痛な叫びを立てた船頭の声は、山のような高波の下から聞えました。

水主も楫取もその高波の下を潜って、こけつ転びつ、船の上をかけめぐっていたのが、この時分には、もう疲れきって、帆綱にとりついたり、荷の蔭に突伏したりして、働く気力がなくなっていました。事実、もう、積荷を保護しようの、船の方向を誤るまいのという時は過ぎて、飛ぶだけのものは飛ばしてしまい、投げ込むほどのものは投げ込んでしまい、船の甲板の上は、ほとんど洗うが如くでありました。

ただ船の上にもとのままで残っているのは、帆柱一本だけのようなものです。