Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Leggi 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.120 caratteri · 516 schermate

Aozora Bunko

がもくもくと舟を打ち上げて来ます。その時はもう遅い。舟は大きなうねりに乗せられて、岸へ岸へと運ばれてしまう。帆はダラリと垂れてしまって、舵はどう操っても利かない。そうしているうちに舟と人とは、砂の上へ持って来て、そっと置いて行かれてしまいます。

そのいたずらな平沙の浦の海をながめていた駒井甚三郎は、ふいと気がついて、

「そうだそうだ、あの婦人はどうしたろう、今日はまだ見舞もしなかったが、清吉がいないとすれば、誰も看病の仕手は無いだろう、燈火もついてはいないようだし」

と呟いて窓を締め、蝋燭を手に持ったままで、壁にかけてあった提灯を取り下ろしてその蝋燭を入れ、部屋を出て縁側から下駄を穿いて番小屋の方へ歩いて行きました。小屋の戸を難なくあけて見ると、中は真暗で、まだ戸も締めてないから、障子だけが薄ら明るく見えます。

「清吉は居らんな」

甚三郎は駄目を押しながら、その提灯を持って座敷へ上ると、そこは六畳の一間です。その六畳一間の燈火もない真暗な片隅に、一人の病人が寝ているのでした。

その病人の枕許へ提灯を突きつけた駒井甚三郎は、

「眠っておいでかな」

低い声で呼んでみました。