Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Leggi 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.120 caratteri · 516 schermate
けれども甚三郎は、この少年を問い訊すことに興味を失わないで、
「そして、お前、これからどこへ行くつもりなのだ」
「あたいは、これから芳浜へ帰ろうと思うんだけれども、芳浜へは帰れないや、だから舟に乗ってどこかへ行ってしまいたいと思っているのよ」
「芳浜にお前の実家があるのか」
「あたいの実家じゃない、お嬢さんの家があるんですよ」
「お嬢さん……主人の娘だな。清澄へ行く前、そこに居候をしていたのか」
「あたいは、お嬢さんに可愛がられていたのよ、お嬢さんが、あんまり、あたいを可愛がるもんだから、それでみんなが、あたいをお嬢さんの傍へ寄せないようにしてしまったのですね、お嬢さんきっと、あたいに会いたがるに違いない」
子供はすずしい眼をして甚三郎の面を打仰ぎました。お嬢さんに可愛がられてる……それがなんとなく甚三郎の心を温かいものにして微笑ませました。
「そのお嬢さんというのは幾つになる」
「今年、十八になるでしょうね」
と言って小首を傾げるところを見れば、どう見ても愛くるしい美少年で、決して悪戯をしたために、これほどまで無惨に縛られ、縛られた上に、清澄の山から洲崎の浜まで走って来るほどの不敵な少年とは思われません。