Classici giapponesi con furigana
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おんなごころしゅうい
女心拾遺
矢田 津世子
Leggi 女心拾遺 (おんなごころしゅうい) di 矢田 津世子 (やだつせこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.514 caratteri · 36 schermate
「どうだね、この入舟の光沢は」
自慢げに背を斜に反らせて、足元の万年青鉢へ眺めいる恰好になった。
「まあ、傍へ来て儂の手入れぶりを見てごらん」
云ったかと思うと、性急に飛石を渡ってきて、自分から庭下駄を揃えてやり、リュウマチで足の不自由な老夫人の庭へ下りるのを扶けて、手をひいてやりながらそろそろと万年青棚の前へつれて行く。その良人の掌の温みに夫人はまごついて、何度も飛石につまずいては蹣跚けた。そして、唐突なその劬り深さから遠い記憶が徐かに甦えってきて、夫人は捜るように、和んだ良人の横顔を見やるのだった。
良人が常にもまして優しく、こまやかな情愛をみせるような時には、蔭に必らず女出入りがある、――それが、これまでの例であった。そんな折り、故意にみせる優しさというのも、心底から夫人への償いに動かされているというよりは、放蕩で穢れた自分を浄めるための、それが罪滅しのようであった。唐沢氏の関心をもつ婦人というのは主に玄人筋で、それも、ひところは柳橋の小若というのへ入れあげて、おさらい時には踊り衣装の一式を自分で見立て、京都へ誂えてやるという執心ぶりだった。