Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ようちゅう

妖虫

江戸川 乱歩

Leggi 妖虫 (ようちゅう) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 120.290 caratteri · 239 schermate

Aozora Bunko

「それじゃ、あの葉巻は……」

「ちゃんと、眠り薬が仕込んであったのだよ。お嬢さん、おとなにしていらっしゃい、もうあんた一人ぽっちになってしまったんだからね。ハハハ……」

「誰です。あなたは一体誰です」

珠子は色を失った唇をワナワナ震わせて、死にもの狂いの気力で叫んだ。

「アア、なんて美しいのだろう。あんたがそうして怖がっている顔は、実にたまらないですぜ、お嬢さん」

怪人物は、ソロソロと彼女の肩へ手を廻しながら、いやらしく笑った。

珠子はもう身体がすくんで、口は乾き切って、声を出す力もなく、捉えられた美しい小鳥のように、息遣い烈しく、うち震うばかりであった。

アア、もう絶体絶命だ。

珠子は妖虫の毒手を逃れようとして、却って当の赤蠍の手中に陥ってしまったのだ。老探偵に変装していた奴が、赤蠍の一味であることは云うまでもない。その外に、運転台には二人の屈強な男が頑張っている。運転手も助手も同じ仲間なのだ。そうでなくては、偽探偵がこんな大胆な振舞をする筈がない。相手は三人だ。頼みに思う父の操一氏は麻酔に陥って死人も同然の有様。もう全く逃れる術はなくなった。

自動車はどこへ行くのか、郊外の真暗な道を、矢の様に走っていた。