Classici giapponesi con furigana
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つまのざ
妻の座
壺井 栄
Leggi 妻の座 (つまのざ) di 壺井 栄 (つぼいさかえ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 82.695 caratteri · 165 schermate
そのときのミネは、聞かされたことが不快だった。それがミネと何ほどのかかわりがあるというのか。しかし、今はちがった気持でミネはそれを思い出し、野村の複雑な気づかいが察しられるのだった。正月に野村の家であったときより一そう深いうれいを含んだ長女のその顔色から、野村の生活がまだ軌道にのっていないような気がした。野村はそれをどのようにさばいているだろうか。この広場に集って日ごろのうれいを忘れ、楽しそうに語りあっている大ぜいの人たちの中で野村の妻と娘とだけがだまっている。妻はつつましさから、娘はゆううつさからという顔つきである。
となりのグループは婦人の団体だった。みんな赤い花を胸につけている。ミネもそこの会員である関係から、ミネの手にも造花の赤いダリアが回ってきた。和服のミネはそれを手にもっていたのだが、思いついてそれを野村の長女におくった。ふっと小さく笑ってうけとった彼女は、しばらく両手の指でその茎をくるくると回していたが、やがて胸につけた。うれしそうだった。ミネはほっとした。そして、今のさき考えたことをごしごしと消しゴムで消すように自分の心から消し去ろうとした。