Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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つまのざ

妻の座

壺井 栄

Leggi 妻の座 (つまのざ) di 壺井 栄 (つぼいさかえ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 82.695 caratteri · 165 schermate

Aozora Bunko

四

そんなことを考えながら歩いていたミネは、閑子が結婚の土産として野村の長女におくった草履のことを不意と思い出して、がく然とした。畳表のその草履は赤えんじの鼻緒がすがり、フェルト裏の上等のものだった。ずっと前、そんな草履が買えた時代に、それはミネからお年玉におくったものだった。田舎にいた閑子は、きれいな草履を愛し、惜しみ、幾度か下におろそうとしては思いあきらめ、箱の中に入れて眺めることで終った。もう派手になってしまった草履を、閑子は持って上京した。そして草履はついに一度も閑子の足にはかれず、そのままひとにくれてやることになったのだ。閑子はきれいなはきものを惜しんで、ようはかない女だったのだ。閑子よ、そこにお前の不幸もあったのではないのか。今からでよい、閑子よ、きれいな下駄もはこうでないか。はいて泥田圃を突っきろうでないか。お前は美しい下駄をはく権利を捨ててはならないのだ。美しい下駄は美しい人だけのものではないのだもの。閑子よ、私はお前にもう一度きれいな下駄をやりたい。それをはかしたい。

四

久しぶりにゆっくりと、誰に気がねもなく寝坊を楽しんだミネは、寝床の中からきげんがよかった。