Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たぬきじる

完本 たぬき汁

佐藤 垢石

Leggi 完本 たぬき汁 (たぬきじる) di 佐藤 垢石 (さとうこうせき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 133.158 caratteri · 273 schermate

Aozora Bunko

夕方には戻ってくるから正五時に来てくれ、と親切に言ってくれた。

私は恭しく幾度も頭を下げた。

夕方までの時間を、淀川堤の草の上で消すことにした。空に一片の雲もない日であった。西の方、愛宕山に続いた丹波の山々は低い空に、薄い遠霞を着ている。木津川の上流と思える伊賀の国の連山も遠い。淀の水は、白い底砂の上を、音もなく小波を寄せて私の眼の下を流れている。堤の若草にまじって黄色く咲いた蒲公英の花の上へ、蜜蜂が飛んできてとまった。何と遅々たる春日だろう。

うつらうつらと眠くなった。私は、老僧の親切な言葉に安心して、ほんとうにのんびりした気持ちになったのであった。

眼がさめた。驚いて陽を見るともう西の山の端に沈んでいる。日が暮れるのに間もあるまい。残映が、山の上を帯のように長い雲をぼんやりと紅く染めている。

――五時と言われたのに――しまった――

私は、転ぶように寺の土間へ駆け込んだ。声を聞いて出てきたさきほどの梵妻は、私の顔を見るなり、

『おっさんは、いつも来るようなひやかしだとは思ったけれど、それでもと思って約束の正五時に京から戻ってきた。ところが、案の定、お前さんが見えない。