Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いえ

家

島崎 藤村

Leggi 家 (いえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 126.748 caratteri · 254 schermate

Aozora Bunko

浴室は折れ曲った階段を降りて行ったところにあった。伊豆らしい空の見える廊下のところで若夫婦はちょっと佇立んだ。

「お前達は子でも造りに来たかいなんて――母親さんはあんな気で被入しゃるんでしょうか」と豊世が言ってみた。「真実に何からお話したら可いでしょうねえ……」

「なにしろ、お前、ああいう気性の母親さんだから、一時に下手なことは話せない」と正太も言った。「お前が側に附いていて追々と話して進げるんだネ」

こんな言葉を取換した後、正太は二三の男の浴客に混って、湯船の中に身を浸した。彼は妻だけこの伊東に残して置いて復た国の方へ引返さなければ成らない人で有った。前途は彼に取って唯暗澹としている。父が投出して置いて行った家の後仕末もせねば成らぬ。多くの負債も引受けねば成らぬ。「家なぞはどうでも可い」とよく往時思い思いした正太ではあるが、いざ旧い家が壊れかけて来たと成ると、自分から進んでその波の中へ捲込まれて行った。

湯から上って、正太は母や妻と一緒に成った。

母は声を低くして、「林の御隠居も隣室へ来ておいでる……それで先刻ああは言ってみたが、大概私も国の方のことは察しておるわい」