Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
どんぐり
寺田寅彦随筆集 第一巻
寺田 寅彦
Leggi 寺田寅彦随筆集 第一巻 (どんぐり) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 203.161 caratteri · 412 schermate
いったい私にとっては笑うべき事と笑う事とはどうもうまく一致しなかった。たとえば村の名物になっている痴呆の男が往来でいろいろのおかしい芸当や身ぶりをするのを見ていても、少しも笑いたくならなかった。むしろ不快な悲しいような心持ちがした。酒宴の席などでいろいろ滑稽な隠し芸などをやって笑い興じているのを見ると、むしろ恐ろしいような物すごいような気がするばかりで、とてもいっしょになって笑う気になれなかった。もっともこれは単にペシミストの傾向と言ってしまえば、別に問題にはならないかもしれないが。
そうかと思うと、たとえばはげしい颶風があれている最中に、雨戸を少しあけて、物恐ろしい空いっぱいに樹幹の揺れ動き枝葉のちぎれ飛ぶ光景を見ている時、突然に笑いが込みあげて来る。そしてあらしの物音の中に流れ込む自分の笑声をきわめて自然なもののように感ずるのであった。
あるいは門前の川が汎濫して道路を浸している時に、ひざまでも没する水の中をわたり歩いていると、水の冷たさが腿から腹にしみ渡って来る、そうしてからだじゅうがぞくぞくして来ると同時にまた例の笑いが突発する。
いずれの場合にも、普通いかなる意味においても決して笑うべき理由は見つからないが、それにもかかわらず笑いの現象が現われ来るのをいかんともする事ができなかった。