Classici giapponesi con furigana
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どんぐり
寺田寅彦随筆集 第一巻
寺田 寅彦
Leggi 寺田寅彦随筆集 第一巻 (どんぐり) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 203.161 caratteri · 412 schermate
昼飯時が近くなるので、勝手のほうでは皿鉢の音がしたり、物を焼くにおいがしたりする。
腹の減るのもつらかった。
繰り返して教えてくれても、結局あまりよくはわからぬと見ると、先生も悲しそうな声を少し高くすることがあった。
それがまた妙に悲しかった。
「もうよろしい、またあしたおいで」と言われると一日の務めがともかくもすんだような気がして大急ぎで帰って来た。
宅では何も知らぬ母がいろいろ涼しいごちそうをこしらえて待っていて、汗だらけの顔を冷水で清め、ちやほやされるのがまた妙に悲しかった。
五 芭蕉の花
晴れ上がって急に暑くなった。
朝から手紙を一通書いたばかりで何をする元気もない。
なんべんも机の前へすわって見るが、じきに苦しくなってついねそべってしまう。
時々涼しい風が来て軒のガラスの風鈴が鳴る。
床の前には幌蚊帳の中に俊坊が顔をまっかにして枕をはずしてうつむきに寝ている。
縁側へ出て見ると庭はもう半分陰になって、陰と日向の境を蟻がうろうろして出入りしている。
このあいだ上田の家からもらって来たダーリアはどうしたものか少し芽を出しかけたままで大きくならぬ。
戸袋の前に大きな広葉を伸ばした芭蕉の中の一株にはことし花が咲いた。