Classici giapponesi con furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Leggi 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) di 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 136.097 caratteri · 267 schermate
『わざわざ遠方からあまたの軍兵を率いて御出征になられるようなことはありませぬ……。』橘姫はそう仰っしゃって居られました。何所へまいるにもいつも命の御随伴をした橘姫がそう申されることでございますから、よもやこれに間違はあるまいと存じます。
それは兎に角、不意の来客としては五六十人はなかなかの大人数でございます。ましてそれが日本国中にただ一人あって、二人とはない、軍の神様の御同勢とありましては大へんでございます。恐らく森の蝉時雨だって、ぴったり鳴き止んだことでございましょう。ただその際何より好都合であったのは、姫の父君が珍らしく国元へ帰って居られたことで、御自身采配を振って家人を指図し、心限りの歓待をされた為めに、少しの手落もなかったそうでございます。それについて姫は少しくお言葉を濁して居られましたが、何うやら小碓命様のその日の御立寄は必らずしも不意打ではなく、かねて時の帝から御内命があり、言わば橘姫様とお見合の為めに、それとなくお越しになられたらしいのでございます。
何れにしても姫はその夕、両親に促がされ、盛装してお側にまかり出で、御接待に当られたのでした。