Classici giapponesi con furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Leggi 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) di 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 136.097 caratteri · 267 schermate
四十一、海神の怒り
かくまで深いお二人の間でありながら、お児様としては、若建王と呼ばれる御方がただ一人――それも旅から旅へといつも御不在勝ちであった為めに、御自分の御手で御養育はできなかったと申すことでございました。つまり橘姫の御一生はすべてを脊の君に捧げつくした、世にも若々しい花の一生なのでございました。
四十一、海神の怒り
私が伺った橘姫のお物語の中には、まだいろいろお伝えしたいことがございますが、とても一度に語りつくすことはできませぬ。何れ又良い機会がありましたら改めてお漏しすることとして、ただあの走水の海で御入水遊ばされたお話だけは、何うあっても省く訳にはまいりますまい。あれこそはひとりこの御夫婦の御一代を飾る、尤も美しい事蹟であるばかりでなく、又日本の歴史の中での飛び切りの美談と存じます。私は成るべく姫のお言葉そのままをお取次ぎすることに致します。
『わたくし達が海辺に降り立ったのはまだ朝の間のことでございました。風は少し吹いて居りましたが、空には一点の雲もなく、五六里もあろうかと思わるる広い内海の彼方には、総の国の低い山々が絵のようにぽっかりと浮んで居りました。