Classici giapponesi con furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Leggi 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) di 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 136.097 caratteri · 267 schermate
それも神様のお使者や、大人ならば兎も角も、斯うした小供さんの場合には、いかにも手持無沙汰で甚だ当惑するのでございます。
致方がないから、あの時私は御愛想に滝の水を汲んで二人に薦めたのでした。――
『他に何もさし上げるものとてございませぬ。どうぞこの滝のお水なりと召し上れ……。これならどんなに多量でもございます……。』
『これはこれは何よりのおもてなし……雛子、そなたも御馳走になるがよいであろう。世界中で何が美味いと申しても、結局水に越したものはござらぬ……。』
指導役のお爺さんはそんな御愛想を言いながら、教え子の少女に水をすすめ、又御自分でも、さも甘そうに二三杯飲んでくださいました。私の永い幽界生活中にもお客様と水杯を重ねたのは、たしかこの時限りのようで、想い出すと自分ながら可笑しく感ぜられます。
それはそうとこの少女の身の上は、格別変った来歴と申すほどのものでもございませぬが、その際指導役の老人からきかされたところは、多少は現世の人々の御参考にもなろうかと存じますので、あらましお伝えすることに致しましょう。
老人の物語るところによれば、この少女の名は雛子、生れて六歳のいたいけざかりにこちらの世界に引き移ったものだそうで、その時代は私よりもよほど後れ、帰幽後ざっと八十年位にしかならぬとのことでございました。